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2006/10/05 (Thu) 泳げない魚たち4:カケヒキ
さてさて、またまた前回の続き。

うりゃりゃあ。




自動販売機にお金を入れて、コーラのボタンを押したら、取り出し口にはコーラが出てくる。

コンポタは出てこない。

コーラが出てくるという結果は自動販売機のボタンを押した瞬間に確信している。

当たり前のことだ。

オレは用意したセリフでゆっくりボタンを押し始める。

もうすぐ「おっさんとリナの関係」が取り出し口に出てくるはずだ。




「でさ、電話してるうちに、お互い知らない同士だけど同じ日本人じゃん?

お互いの仕事の話とか、近況報告みたなことになってきてさあ。

中野さんだっけ。

なんか話し込んじゃったよ。

そうそう、昨日、中野さんて店で暴れて怪我したんだってねえ。

割れたグラスで二の腕バッサー切ったって。

なんかそんなこと言ってたねえ」



オレがそう言うと、リナは向こうの窓の方を向いてしまった。

今日の朝チェックした例のブログには昨晩の「リージェンシー」の騒動が事細かに書いてあった。

それを見つけたオレはあまりのタイムリーさに身悶えた。

当然であるがオレは中野さんに電話なんかしていない。

中野さんが暴れたとか腕を怪我した、という情報の出何処は全て例のおっさんのブログだ。

そのブログには、「泥酔した同僚がカウンターの前でママと言い争いをし、「好きな四字熟語は釈由美子だ!」と叫んだあと店の中で暴れ始めた」と書いてあった。

「暴れた同僚はボトルやグラスをなぎ倒した上自分もそのまま倒れこんで割れたグラスで腕を怪我した」とのことだ。

その後、「同僚は恐いお兄さんに表につまみ出され路上に倒れこんでいたのだが、そこにリナが救急箱を持って現れ甲斐甲斐しく傷の手当てをし、気が付くといつの間にか二人はそこからいなくなっていた」、ということらしい。

そうブログには書いてあった。

それを読んでオレは確信した。

昨晩オレに電話をよこした中野さんは間違いなくおっさんのブログに登場している「同僚」だと。

プレゼント攻撃でリナとのアフター獲得に成功した「あいつ」だと。




「中野さんに怪我の手当てしてあげたんだって?釈ちゃんによろしくって言ってたよ」


窓の方を向いていたリナが怪訝そうな顔でチラッと目を向けた。


「どういう意味よ?」

「いや、ただ中野さんがそう言ってたから。別に意味なんかないよ」

リナがムッとした目を向けてくる。

「ねえ憶えてる?前にあたしに、特別な存在のお客さんはいないのか、って聴いたことあったよね。

あたし、そのときは“特別”の意味が解らなかったけど、あれからお店に来た日本人のお客さん何人かに、それってどんな意味なの、って聴いてみたの。

それでだいたいあなたが聴きたかったことは解ったわ。

誤解してるみたいだから言うけど、あたしには特別な存在のお客さんなんて、いない。

そんなお客さんは、いないよ。

疑ってるみたいだけど中野さんはなんでもない本当にただのお客さんなの」



突然言われて、なにを言っているのかわからなかった。

リナがそんな前のことを憶えていてちょっと驚いた。

記憶がよみがえった。

付き合い始めてすぐのころ確かにオレはリナに聴いたことがある。

そのときリナは、「“特別”の意味がワカラナイ」と困った顔をした。

そうか中国人には“特別な存在”というニュアンスが解らないのか、と妙に納得した。

他の言葉で聴きなおそうか、とも思ったが生々しいしいのでやめた。

そんなこともあった。

オレはワントーン声をあげる。


「そりゃ疑うだろーよ。

あのおっさん、昨日オレに電話してきたとき、釈ちゃんはオレの女だ!って言ったんだよ?普通、日本人のおっさんはただのお客ならキャバクラのキャストつかまえてそんなこと言わねえよ。

いくら酔ってたとしてもそんなことは絶対言わねえな。

なんかあるなって思うのが普通だろ?」


リナは首を振った。

「そんな、だいたい、そんな時間あるわけないじゃない!

いつも一緒にいるじゃない!

あなたが仕事してる昼間はあたしは毎日学校へ行っているわ。

学校が終って夜になればアルバイト。

店がはねれば二人で会ってるじゃない。

いつそんな時間があるっていうの!」


それは本当に嘘ではない。

「まあ、オレがこっちに来てるときはそうかもしれない。

でもな、オレが日本に帰っているときは、リナと確かにしょっちゅう電話はしてるけどな、それ以外のときはリナが何をしてるかなんて分からないだろうが。

そこにきて上海に来て早々、昨日のおっさんからの電話じゃ、オレがいない間におっさんとどうにかなってんじゃねえかって、当然、思うだろ」


リナはあきれたように大きく深くうなずきながら言う。

「でもそれはお互い様じゃないの?

あたしだってあなたの全ては分からない、あなたが日本にいるとき何をしてるかなんて全く分からない。

日本にもしあなたに彼女がいたってわからない。

要はそれと同じじゃないの?

信じるか、信じないか、じゃないの?

そんなもの証拠なんて見せようがない。

あたしがお客さんと一切なにもないって言ってることを、あなたが信じるか、信じないかじゃないの」



「じゃあ、なんでオレとはすぐに寝たんだよ」


少し声がかすれた。

「・・・・・・・・・・なによそれ?」


「オレとはすぐに寝て、他の客とは一切そういうことがないなんて、はいそうですかって信じれるわけねえだろ。

100パー説得力ねえよ。

なんでオレの誘いはすぐに乗ったんだよ?」


オレが誘っておいて、リナが誘いに乗ったことを責めている。

勝手で支離滅裂なのはわかってる。


「・・・・・ちょっと酔ってたから。

あのときはちょっと酔って、いい人かなって思ったから・・・・・」


「はあ?そんなもんか?

そんなもんなのか?

だとしたら、いいか、もう二度と酔うな!

酒は飲むな!」


ずるい。

卑怯。

なんとでも言え。

「それじゃ今の仕事できないじゃない!」

リナは毅然と挑むように睨み返してきた。

美しい獣のような顔。

「だから前から辞めろって言ってるだろ。

お前だって、日本語上手くなってこの世界からぬけだしたい、って言ってたじゃねーか。

あれはデマカセか?

やっぱりあれか、カネか?

カネが欲しいから辞められねえのか?

だったらオレが月々五万円渡してやるよ。

だったらいいだろ。

だからさっさと店を辞めろ」


オレはリナをやっぱりどこかで中国人だと思って見下している。

蔑んでいる。

馬鹿にしている。

パソコンも買ってあげた。

電話代も渡している。

一緒にいるときは見栄を張ってリナには一元だって払わせない。

それは、リナがお金欲しさに他の客と寝ないようにと、そうしていることだ。

お金のバリヤーを張っているようなもんだ。

要は浮気防止のためにお金を渡している。

カネを渡しておけば平気だろ。

なんて人を馬鹿にした傲慢な考え方なんだろう。

だけど止まらない。

「だいたいな、日本語上手くなってこの世界からぬけだしたい、

って言っといて、

店のオーナーママになれるかもしれないからお金貸してほしい、

ってなんなんだよ?ふざけんな!

そしたらこの世界にどっぷりじゃねーか。

本当にぬけだす気あんのか?

なんだかんだ言って、結局はカネじゃねーか。

働いてるところ見られるの嫌だから店に来ないで、ってなんなんだよ?

ってことはそういう関係になってる客がいるってことじゃねえのか?

さっき中野っておっさんと電話したときいろいろ聞いたんだよ。

おっさんが、山本さんも釈ちゃんと仲がいいんですか、って聞くから、まあボチボチ、テキトーに、って答えたら、そしたらおっさん、釈ちゃんカワイイですもんね、なんか他のキレイなだけのコと違ってオーラあるし、でもね、実は釈ちゃんて私の彼女なんです、この歳になってこんなこと言うのおかしいかもしれませんが山本さん変なちょっかい出さないでくださいね、だってよ。

中野っておっさんからたくさんプレゼント貰ったんだってな。

そんでアフターしたんだってな。

おっさん一緒に寝たことある、ってさっき電話で言ってたぞ。

昨日も怪我の手当てしてずっと一緒だったんだってなあ。

何してたんだか。

まったく、そんなんで、信じろ、とかよく言えるわな」


爆弾を投下し終わると頭の中がからっぽになった気がして、そのままぼんやりリナを見つめていた。

オレはなんでここにいて、なにをやってるんだろう・・・・

そんなことが急になにもかも解らなくなった。




リナの口から言葉が漏れた。

「・・・絶対そんなことない」

リナは泣き笑いのような顔をしている。

「・・・絶対そんなことないよ。

あなたは中野さんに電話なんかしていない。

絶対にしていない。

それに中野さんは本当にただの客さんよ。

昨日も怪我の手当てをしただけ」



「・・・・・・・・・・・・・」


シナリオにない展開。

オレが電話してないってなんでそこまで言い切れるのだろう。

ぼんやり考える。

釈然としない。

本当になんともないってことだろうか。

「おっさんとリナの関係」が取り出し口に出てくるはずだったのに何も出てきやしない。

コンポタさえ出てこない。

本当になにもないのだろうか。

中野のおっさんは本当にただのお客さんなのだろうか。

今日オレがおっさんに電話をしたかどうかの真偽をリナが確認できるはずない。

リナがさっきまでおっさんと一緒だったとすれば話は別だが・・・・

わからない。



リナが泣き笑いの顔で言った。

「あなたは、また、あたしを試している・・・」


ギリギリでまだどこかに繋がっていた見えない糸がぷつりと切れて、ゆらゆら漂っている気がした。

ガラスに映った自分の顔を見つめる。

ガラスに映った自分の顔はひどく子供っぽくて、卑屈で情けなかった。


「・・・ごめん」


咄嗟に漂ってる糸をたぐり寄せた。


リナは下を向いて急に深刻な眼をした。

その眼は自分が試されたことに激怒してるように見えた。

だが、必死に笑いを堪えているようにも見えた。




(とうべー こんちにゅー)



先週中国から帰ってきた後輩の実話です☆




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comment

だめだ…やばい。

次がきになるし、

FineDaysさんの、そのストーリーの持って行きかたといい…

凄くおもしろいです。

次回、マッハで期待しています♪♪w
2006/10/05 06:54 | めみ [ 編集 ]

いいぞーいいぞー!!泥沼だーーーー!!。
有るんですよネこんなの、現実でも!!、、この展開は久しぶりーー。。

昔20歳台100人位の寮に入って居た時(俺にとっては天国だった)、ソープ嬢と同棲を始めた奴とか、人の若妻と駆け落ちした奴とか、結婚して寮を出たら速攻で奥さん寝取られた奴とか、、、もう、純情な俺には付いて行けない世界だった。
古株になった奴らと話すと、何時も、、、アイツは女に刺されたらしいぞ!!とか、ダンナが乗り込んで来て修羅場だったらしいとか、、、、感覚がおかしくなってた俺たちは、、、何時か俺も惚れた女に刺されたい!!??、、、何じゃ?、意味不明な願望を持ってました。
ファインさん、、友達、、、早く女に刺されて欲しい!!、、、。。。。
2006/10/05 17:36 | みっちゃん [ 編集 ]

きゃーきゃーw
気になる!次は~!!?
文章、全体的にかっこいいけど、「コンポタ」ってFineさんぽい。笑
2006/10/05 22:19 | ユイ [ 編集 ]

>めみちゃん

>凄くおもしろいです。

まじ?、まじ?
ほんとに?、ほんとに?

みなさん褒め上手でホントうれしいですわ♪

ってことでマッハで更新しまーーす♪

>みっちゃんさん

>この展開は久しぶりーー。。
でしょでしょ、この展開、久しぶりだよね(ってノッてみた

>友達、、、早く女に刺されて欲しい!!、、、。。。。

いやいや、みっちゃんさん、これ実話なんで
それはないですってwww

好きな女に刺されたい、ってすごい願望の持ち主ですねw

>ユイちゃん

きゃーきゃー
読んでくれてありがと
もういまさら途中で止められないしね

おれはコンポタよりドライマティーニが似合うタイプだってww
2006/10/06 01:09 | FineDays [ 編集 ]

ふぃねたん、おひさんま。
とうとう中国事変、部下編スタートしたのね、
次回作が待たれてしかたないわ、続きが読みたいのに
読みたくない(終わって欲しくないって意味よん)
ところでこれ下書きしてるの?
ちょと、あーた文才ありすぎざます。
2006/10/06 01:13 | うめ [ 編集 ]

>うめっち

おひさんまーーーー!!!
きたーーー!
うめぞうがインド洋から帰ってきたーーー!

下書きはないよ
実話なんで下書きいらないの
ストーリー出来上がってるから(あたりまえだけど

ところで、うめっち、マグロ漁船どうだった???w
2006/10/06 02:20 | FineDays [ 編集 ]









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四字熟語について
四字熟語四字熟語(よじじゅくご)は、漢字4文字で作られた日本語の熟語。中国語で成語とよぶ慣用語の内、最も比率の高い4文字から構成されるもの、故事や、漢文から作られる場合が多い。背景となる物語やいわれがある場合は、文字数に比べて情報量が多く、共通知識のある者 //中国語で行く 2007/04/03 22:10

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【コメント 嬉しい♪楽しい♪大好き♪】

コメントするとタヒチ旅行が当たる!!!    かもよ・・・

【ばついち。だっけなんだや】

FineDays

Author:FineDays
プロフィール写真を変えてみた。
女豹のポーズの写真とどっちにしようか悩んだけどな。
思いきり背中そらせた上目使いのやつ。
でもやっぱ、まだ処女性をアピールしたい年頃じゃん?
「美尻伝説」打ち立てんのはまだ先でいいかなあって。
もうちょい清純派路線つらぬくわ。
でもなそうは言ってもな
アンアンの「SEXで綺麗になれる」特集とか見て来る日に備えてっから☆

【カウンター跳ね上がれ!マッハで♪】

【かてごり】

【激鬱を治癒する物語たち】

【リンク 行ってみれ】

あの娘のもとに                               飛びますっ!飛びますっ! 

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