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2006/10/09 (Mon) 泳げない魚たち6:マンション
20061009220415.jpg






「じゃ、おやすみ」

「うん、じゃあね、おやすみ」

リナは胸の前で小さく手を振った。

オレはタクシーを降りて、ホテルのエントランスからロビーに入る。

フロントでルームキーを受け取り、エレベーターホールでエレベータが下りてくるのを待つ。

何気なく外に目をやると、リナを乗せたタクシーの赤いテールランプが見えた。

「ん!?」

タクシーはリナのアパートとは反対の方角に走り出している。

このホテルは繁華街から少し離れた大通りに面している。

リナのアパートはホテルを出て左に真っ直ぐいったところだ。

歩いて十分、ダッシュで三分、車ならあっという間についてしまう距離のところにある。

確かに今、テールランプはリナのアパートとは反対の方角に消えていった。

耳の奥、鼓動が「ドクン」と大きく響いた。

地球がうまく回りはじめると、いつもこうだ。

これは神様のいやがらせか。








リナがあれからどうしたのかを確かめたくて次の日も待ち合わせをした。

忙しいといっても睡眠時間を削ればそのへんは何とでもなる。

忙しいからなかなか会えないとか言っておいて、おかしな話だ。

目の前でリナが楽しそうにシフォンケーキを分解している。

「何で?」

「たぶんあたしはウサギ科の女なんだと思う」

「はあ?」

「ウサギってひとりぼっちだと寂しくて死んでしまうんだって。あたしもイズがいつも一緒にいてくれないと死んじゃうのよ」

「あっそ、だったら死ねば」

「ひどーい」

リナはオレを「イズ」と呼ぶ。

名前が「泉」だからだが、発音が英語の「is」と同じで覚えやすかったらしい。


「それでさ、昨日、あれから真っ直ぐアパートに帰らなかっただろ」

会話の流れに紛れこませてサラリと言った。

「あ、え?なんで?・・・帰ったよ」

笑っているリナの目が一瞬泳いだ。

「タクシーでアパートと反対の方に行ったじゃんか。

あんな時間からどこ行ったのよ」


「・・・・・あ、うん・・・あのね・・・XXXX・・・・XXXX・・・・」

わざとオレのわからない中国語で間をつなぐ。逡巡している。何を言おうか。どこまで言おうか。どう言おうか。

「え?なに、どこ行ったって?」

だから考える時間を与えない。さっさと正直に言え。

リナのケーキを分解する手が止まった。

「・・・えとね、実はね・・・言ってなかったんだけど・・・アパートを引っ越したの」

「はあ?」

オレはグラスの水を一気に飲み干した。

「うん、だからね、今まで住んでたアパートを引っ越したのね。今度のアパートは今までのアパートとは反対側になったの。だから、こんどのアパートはそっちで、ホテルから見たら右のほうで、で、だから・・・うん・・・」

しどろもどろ。

「はあ?・・・・それっていつよ」

「えとね、つい最近なんだけど・・・」

とリナは曖昧に言葉を濁した。

カチンときた。

引越し?そんなこと聞いてない。

リナは嘘をついている。

オレは煙草に火をつけた。

「なんでオレに何にも言わねえの?

なんで何にも言わないで引っ越すわけ?

だいたい何で引っ越したことを隠しておくのよ?」


「違う、違う。隠しておくつもりなんかじゃないよ。

あなたが最近忙しそうで、自分のことでいっぱいいっぱいそうだったから・・・。

それにね、引っ越したばっかりでまだ部屋が片付いてないの。

部屋が片付いてから言おうと思っていたからさ。

部屋が片付いたらアパートに呼んでビックリさせようと思っていたからさ・・・

本当、そうなの・・・」


リナは胸元を押さえた。

リナはオレがあげたリングを、店でははめれないからと、ネックレスにして首から下げている。

このリングに誓って嘘は言っていない、信じて、とでも言いたいのか。

「部屋が片付いてようがどうだろうがそんなのは関係ない。

その前に引っ越すことを、なんでオレになんにも言わねえのって?

それに昨日オレと逢ったときになんで引っ越したこと一言も言わねえのよ?

気づかれなきゃずっと隠しておくつもりだったんじゃねえの?」


自分で言っておいて胸騒ぎがどんどん膨れ上がってきた。

「だからそれは、部屋が片付いてから、って・・・」

リナの笑いはどんどんぎこちなくひきつってくる。

「じゃあ、これから行くか」

「え?」

「引っ越したアパートに行くんだよ」

どこまで本当か確かめたい。今すぐ確かめたい。

「ああ、うん、でも部屋が片付いて・・」

「どうでもいいよ、そんなの」

尖った声に、リナは狼狽した。

さっきまでの和やかな空気が一変している。

「いや、でも・・・あの・・・」

リナは何か言おうとしたが、これ以上オレに何を言っても無駄だと判ったのか、結局、観念した。

「・・・・・・いいけど」







ドアの前でリナは言った。

「ちょっとここで待ってて、五分でいいから、ね」

五分間待ってる間に部屋に残ったオトコの残滓を押入れにでも放り込むつもりなのだろう。

日本人も中国人も一緒だなあ、と妙に納得しながら、ああ、とか、うん、とか曖昧に返事をした。

リナが鍵を解いてドアを開けた瞬間、一緒に部屋の中に滑り込んだ。

オレも、日本でやってることと、中国でやってることが、かわらない。

「ちょっと、待ってよ、待ってってば!」

リナが腕をつかんだ。

前にもこんなことがあったようなデジャヴ。無言で腕を振りほどいて奥へと進む。

あれからすぐケーキも残したまま店を出て、リナに案内させて到着したアパートは、日本でいうところのマンションだった。

真っ白な壁に高い天井、斬新なデザインの豪華なマンション。

真面目に働くことがバカバカしく思えてくるほど稼ぎまくっているIT社長が好みそうなマンションだ。

まあ、中国人にすれば日本人の誰もがヒルズ族のようなものだが。

オレは奥に進み、三十畳はあるだろうだだっ広いフローリングのワンルームを茫然と眺めていた。

引越し?大嘘だ。

いつのはなしだよ、それ?

テレビの上のほこり、ゴミ箱のティッシュ、洗濯物、水切りカゴの食器・・・

あちこちに生活感が溢れかえっている。

灰皿をベッドのサイドテーブルに見つけた。

そして吸殻。

リナは煙草を吸わない。






・・・何かがカチリと音をたてて繋がった。






一ヶ月前、オレが上海に着いた日。

ホテルに到着したことをリナに電話で告げた。

前の日の電話でオレが上海に着いたら二人で食事しようということになっていたからだ。

オレの電話を受けて、リナはこれからホテルに向かうと言って電話を切った。

オレはリナにすぐにでも会いたかった。

だからホテルの前の石段に腰掛け、リナが現れるであろう方角をずっと眺めていた。

だが、十分待っても二十分待ってもなかなかリナは現れなかった。

ただその間、何度も携帯に電話が掛かってきた。

「もうすぐ行くよ、今どこにいるの」

と、オレがどこにいるのかを、なぜかリナは何度も聴いた。

オレは、ホテルの前の石段で待っているよ、と何度も答えた。

リナのアパートはホテルから歩いて十分くらいなので、

「オレがアパートに迎えに行こうか」

というと

「ううん、大丈夫、すぐ出るから待ってて」

と言う。

結局、そのときはホテルの前で一時間待たされた。



今、わかった。

今、繋がった。




あの日オレがホテルに着いたとき、リナはこっちのマンションにいたんじゃないか?

だからあのとき、オレがどこで待っているのかをしつこく聴いたんじゃないのか?

そしてリナはオレがホテルの前で待っていることを知って、わざわざ、大きく迂回してもうひとつのレイカと住んでいるアパートの方角からホテルに現れたんじゃないだろうか?

だから一時間も遅れたんじゃないのか?

こっちのマンション、すなわちオレの知ってるリナのアパートと反対側から現れたのではオレが不審に思うから。

不審に思ったオレが、リナにお金を貸してくれなくなるかもしれないから・・・。

あの日、オレは四万元を用意していた。

日本円にして六十万円。

リナが「リージェンシー」のオーナーママになるために貸して欲しいとオレに頼んだカネだ。

オレはリナにキャストを辞めてほしかった。

オレは、リナと結婚してもいいかな、と本気で思っていた。

今でも思っている。

結婚の話は二人の間で何度も持ち上がっている。

ただリナは日本に住むつもりはこれっぽっちもなかった。

会社のみんなには、お前のカネ目当てだろ、やめとけよ、と言われた。

確かにそれはそうなんだろう、ということは自分でもわかっている。

それでも中国に骨をうずめる覚悟、と言うと大げさだが、それでもいいかなと思い始めていた。

キャストという仕事は誘惑が多い。

リナくらいのキャストになるといろんな日本人がカネをちらつかせて囲おうとする。

日本に帰ってきているときはそれが不安でいつも電話していたようなものだ。

会えない時間が愛を育てるのは郷ひろみの歌の中だけだ。

だからリナがオーナーママになるなんてオレにとってはとんでもないことだったが、電話で反対し続けてもラチがあかなかった。

それより顔をつき合わせて話したほうが早いと思い、一応カネは日本から用意していくと伝えていた。




あの日のことは、リナがホテルに遅れてきたのは、そんなオレの気を損ねないようにとの立ち回りだったんじゃないだろうか?



リナは、今回の出張にくる前からすでにこのマンションに住んでいた。

いや、このマンションとレイカとのアパート、二つの部屋に住んでいた。

オレといるときはレイカと同居しているアパートで寝泊りし、その裏、このマンションを与えたオトコとはここで逢瀬を重ねていたに違いない。

いつの間にか、オレが日本に帰ってるあいだにオトコに囲われていた。

電話をかけてきた中野のおっさん。

あのやろう。

心の芯にしこりとして残っていた疑心暗鬼がむくむくと眼を醒ます。

それはだんだん確信にかわっていく。

当然今までリナとはセックスしまくった。

だが、時にはSMを試したり、イメクラごっこをしてみたり、わき腹がつるような体位にトライしたりという日本人カップルなら誰でも普通にやっているスパイス的なセックスをリナは一切いやがった。

リナはフェラやクンニなどのオーラルをする日本人を「きちがい」呼ばわりしていた。

そして、そういった行為はずっとかたくなに拒んできていた。

付き合ってからずっと。

それが今回、来てみるとどうだ。

リナは積極的に口に含み懸命に舌を絡ませるようになった。

「初めてだから上手くできないけど・・・」

というリナの変化にスケベな日本人のひとりであるオレは内心喜んでいたが、喉の奥深くまで含んでのスムーズな動きはどう考えても初めてのそれではなかった。

動くたびに内腿に触れるサラサラした髪の感触までもが狙ったものであるかのように感じた。

頭の隅で不信感を抱きながらも、このまま爆ぜてしまうのではないかと自分を抑えるのに苦労した。





・・・・そうか、そういうことだったのか・・・・

なんとなく想像はできたがオレは目を背けていた。やっぱり他のオトコに教えられたのか。

ずっしりと重いクサビを胸に打ち込まれたようだ。







オレが灰皿の吸殻を睨んでいるのに気付いてリナが言った。

「それ、レイカの吸殻だからね、本当だよ」

確かに灰皿の中の煙草の銘柄はレイカが吸ってる煙草と同じものだ。



「これからはレイカとは別々に住むつもりか?」

自分の存在価値を疑ったことなんてなかったけど。

「ううん、また一緒に住むつもりよ」

リナにとって、自分だけは違う男と思っていたけど。

「なんでここにはレイカの荷物がないんだ?」

これ以上、詮索しないほうがいいのだろうか、とも思う。

そしたら案外上手くやっていけるのかもしれない。

リナにとってオレが一番ならいいじゃないか、オレがリナの全てじゃなくてもいいじゃないか、と。

「レイカが忙しくてまだ持ってきてないだけ。そのうち持ってくるわ」

だけど止まらない。

「ふうん・・・じゃあ前のアパートにはまだレイカはいるんだ」

レイカがこのマンションを知っているのか確かめたい。

「うん、そう」

レイカがこの部屋で煙草を吸ったのか確かめたい。

「じゃあ、これから行こうか」

どこかへ続くと思っていた二人のレールは結局どこへも続いていないのかもしれない。

「え・・・・・どこ?」

レールは当たり前の風景に飲み込まれていくだけかもしれない。

「レイカがいるあっちのアパートに」

それでもレールの終点を確かめたいと思った。





これは先々週中国から帰ってきた後輩の・・・以下同文・・・

こいつは日曜日からまた中国に行ってしまいました。

私も明日から新潟に出張です。

なんか今日は雑な文章になった気がしますが

そういうことなんで許してくださいね。


んじゃ、行ってきまーす☆






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comment

好い女の条件は、、、、嘘が上手。
良い男の条件は、、、、女の嘘を問い詰めない。。。。。。

女の心には魔物も棲んで居る。。
男の心には悪魔も棲んで居る。。。。。。。。。。

でも、チョットだけ、、天使や神が顔を出すから一緒に居られる。
信じる心が無かったら、、、辛くて辛くて、生きて行けないよね。

月日が経つと、良い思い出だけが記憶に残るのは、俺だけかな?。
2006/10/10 00:16 | みっちゃん [ 編集 ]

面白い☆
次回はいつになるんだろうかと♪早く続きが知りたいです!
出張気を付けてね~☆
2006/10/10 01:00 | めみケータイ [ 編集 ]

お久しぶりです(^^;)ずっと忙しく、今夜ようやく読破致しましたわ☆
・・・う~ん・・・こういったパターンもご相談がくるので、何だか軽はずみに
コメントしにくいわ~(:。:)でも彼の痛みや彼女の焦りが凄く伝わってきちゃったわ!
やっぱり兄貴は単なる「エロおやじ」じゃなくて文才あるのね~☆
(あっ、ゆるゆるおやじだった?!(^^;)ふふふ)
出張、バリバリ張り切って!いってらっしゃ~い(^0^)♪
2006/10/10 01:18 | しおん [ 編集 ]

あ~~~~~~んもう
Fineてゃんのばかーーーーー
4読む前に3読み返して
思わず
「上海、日本カラオケ、リージェンシー、リナ」
で検索かけちゃったわよ~~~ばかーーーーー
そのくらいハマッテる、てかおもしろすぎじゃないのさ。
しかも、この部下の詳細な記憶力はなに?
やっぱ愛?

新潟に出張なの?なまはげなの?え?間違ってるの?
そうそう

マグロ漁船より
メグロがとぅきでーす(チャンドンゴン風)←行ったことねぇよ・・・・

ゴメンもういじめないできちんとブログるからさ。
マグロ漁船はかんべんしてーー




2006/10/12 01:41 | うめQ [ 編集 ]

まだー、、もう待てない!、、所でこの子の顔、何で半分隠してんの?。
、、、君の瞳は100万ボルト、、て歌有ったけど、、この子の感じからすると、100万ボルトは有りそう!!!。。。。。
俺、、、この子の瞳で痺れて見たい、、焦らさないで見せて下さい。。。
2006/10/12 22:09 | みっちゃん [ 編集 ]

>みっちゃんさん

>良い男の条件は、、、、女の嘘を問い詰めない
あは、私、めちゃめちゃ問い詰めます。
自分のことを棚にあげて♪ダメダメですね

>月日が経つと、良い思い出だけが記憶に残るのは、俺だけかな?。
そーそー私もそうですよ!
最後はどんな泥沼演じても、楽しかったときは楽しい記憶ですよね。
グチョグチョでお互い嫌なとこさらけ出して別れた人でも、幸せだったシーンは思い出したりもしますし、ね。

>この子の瞳で痺れて見たい、、焦らさないで見せて下さい。。。
どうしよっかなあ~♪
このコ、ハーフでっせ!!!(煽ってどうする?


>めみちゃん

はーい、気をつけていってきました!!!

新潟はもう寒いかなあ、と思いきや
天気もまあまあで寒くなかった♪
なんてたって日ごろの行いがいいからねオレ(ユニセフ、ゆにせふ♪

まだ紅葉はしてなかったけど
山の上は雪が積もっててビックリでした☆


>しおんさん

はい、バリバリ出張ってきました♪
いえいえ、文才なんぞありませんて。
たんなるユルイおっさんですわ。
まあ、エロおやじでもありますがwww

あ、そうそう、ソフトバンク、残念でしたね。。。

>うめっちさん

相変わらずつっこみどころ満載のコメントですねえw
>しかも、この部下の詳細な記憶力はなに?
えーとね私、適当に脚色いれてますから。
細かいとこはまったくの完璧フィクションとはちょっと違うかも。

そうそう、めちゃめちゃ、なまはげよ。新潟はwww(よい子はまねしないように

じゃ、うめっち、今度はカニ漁船いく?(マグロよりつらいらしいよ☆
2006/10/15 00:19 | FineDays [ 編集 ]









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【コメント 嬉しい♪楽しい♪大好き♪】

コメントするとタヒチ旅行が当たる!!!    かもよ・・・

【ばついち。だっけなんだや】

FineDays

Author:FineDays
プロフィール写真を変えてみた。
女豹のポーズの写真とどっちにしようか悩んだけどな。
思いきり背中そらせた上目使いのやつ。
でもやっぱ、まだ処女性をアピールしたい年頃じゃん?
「美尻伝説」打ち立てんのはまだ先でいいかなあって。
もうちょい清純派路線つらぬくわ。
でもなそうは言ってもな
アンアンの「SEXで綺麗になれる」特集とか見て来る日に備えてっから☆

【カウンター跳ね上がれ!マッハで♪】

【かてごり】

【激鬱を治癒する物語たち】

【リンク 行ってみれ】

あの娘のもとに                               飛びますっ!飛びますっ! 

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