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2006/10/14 (Sat) 泳げない魚たち7:嘘
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今日、新潟から帰ってきました。

妙高に行ってたんですが山の上は雪が積もってましたよ。

さ、久々に

うりゃあぁぁああ・・・・ あああぁ・・・いったれや!!!







リナのマンションからレイカのいるアパートまで歩く。

生暖かい夏の空気がわずらわしい。

今夜もスモッグで星はまばらだ。

リナは通り過ぎる車に向かって日本語で「ばーか、ばーか」と言っている。

「アメリカの映画とかで、こういうのあったよね」

「ロードムービー?」

「そういうんじゃなくって

なんかバイクとかで荷物積んで走ってる感じのヤツ」


だから、それがロードムービーだろ。

「あたし、ああいうのけっこう憧れていたんだよね」

「へえ、けっこうロマンチストなんだ」

時間は午前二時を過ぎていた。

もちろん遅いからといって引き返す気はさらさらなかった。

明日にしようなどとは夢にも思わない。

リナは何かを隠している。

嘘をついている。

とにかく今は、レイカにマンションのことを聴いて確かめなければ気が済まなかった。

とにかく今夜は。





人は自分が本当に望んでいることを知らない。

自分の本当の望みを、本当の心の声を聴くのが一番難しい。

それは自分が自覚している望みの正反対のことだったりもする。

おれは何を望んでいるのだろう。

リナが浮気していることを望んでいるわけがない。

いや、本当のオレは、詮索し続けるのが面倒くさくて、あれこれ考え続けるのが辛くて、いっそ終らせようとしているのか。

「リナ」

「なに?」

言いたいことがある気がしたが、なにを言えばいいのかわからなくなった。

アパートの階段をあがる。

「ねえ、もうこんな時間なんだね。泊まっていく?」

リナはこれから嘘が暴かれるかもしれないのに何故かとても自然だ。

「うん・・・どうしようかな。明日も朝早いんだ」

「そうなんだ」

「それより腹へったよ」

リナが鍵を開ける。

「ねえ、何か食うもんない?」

オレはアパートに入るなりキッチンに入っていった。

「好きに探して何でも食べれば」

リナはソファーに倒れこんだ。

オレが冷蔵庫を物色しているとレイカが部屋からゴソゴソと出てきた。

「こんばんは、イズさん。愛玲、あたしも、おなかすいちゃったわ」

リナとレイカは武漢の幼馴染だ。

だから当然のこと名前で呼びあう。

リナの本名は李愛玲、リーアイリン。

レイカは柳麗華、ユーレイファ、だ。

以前は、リナの本名を知っているのはオレだけだと他の客に対して優越感があったりもした。

今となってはそれもどうだか怪しい。

中野のおっさんも知っているのだろうか。

オレは冷蔵庫やら棚の扉を片っ端から開ける。

戸棚の中にカップ麺と食パンを見つけた。

いつの間にか隣にきていたレイカが、見つかっちゃった、とかなんとか楽しそうに騒いでいる。

二人でお湯を沸かす。

トースターにセットする。

レイカと一緒にケタケタ笑う。

レイカは華奢で、笑うと小西真奈美によく似ている。

リナはぼんやりと顔だけこっちに向けている。

「愛玲、コーヒー飲む?」

「うん」

「じゃあ、入れてあげる」

リナはようやくソファーから起き上がった。

テーブルを三人で囲んで、顔を合わせた。

レイカはカップ麺を食べながら満足そうだ。

「今日、晩ごはん、まともなもの食ってなかったのよ」

「こんな時間に食べると太るわよ」

「おっと」

おどけながらレイカはオレたちに顔を向けた。

「それで何してたのよ、こんなに遅く」

待てば海路のなんたらだ。

たいして待ってもないけど。

どう切り出そうかと考えていたところ

図らずもレイカから切り出してくれた。



オレはドキドキしながらも茶化すように聴く。

「うん、さっき、あっちのマンションに行った。

すごいねあの派手なマンション。

知ってる?」


「ああ、ふーん、そうなんだ」

そんだけ?

思わず、コーヒーが気管に入りむせそうになった。

椅子の上で体育座りしているリナがオレを見ている。

オレはきっとビックリしたウサギみたいな顔をしているに違いない。

あまりにレイカがあっさり認めたのが予想外だった。

オレはいつも最悪のことを想定しているタイプの人間だから。


「え?知ってる?」

「そりゃもちろん、知ってるわよ」

レイカは何食わぬ様子でテーブルに肘をついて煙草に火をつけた。

マンションにあった吸殻と同じ銘柄の煙草だ。

「行ったことあるの?」

「当たり前じゃない。何度も行ってるわよ。ていうか・・・」

「ていうか?」

「ああ、うん、まあ、そういうこと。

おとといもあっちに行ったもの」


「へえ・・・そうなんだ・・・」

レイカの吸っている煙草を見つめる。

マンションの吸殻のことは、もう聴く気がうせた。

あれはきっと本当にレイカの吸殻なんだろう。


でもなにかが釈然としない。

二人で口裏を合わせている可能性だってある。

だが少なくとも、マンションからここに向かう間に、リナはレイカに連絡を取っていない。

ずっとオレが一緒だったからそれは不可能だ。

だとしたら、いつかこうなることを予測して二人で口裏を合わせていたということはないだろうか。

いやいや、そこまでやらないだろ。

疑い始めたらきりがない。

それとも本当に本当になんともないのか。

オレの取り越し苦労で、単にリナがマンションに引っ越しただけのことなのか。



レイカが噴き出した。

「なに、どうしたの?なんかあったの」

「・・・いや、べつになんにも」

リナが非難の目をオレに向ける。

「麗華、イズったら疑っているのよ。

中野さんのこと。

浮気しているんじゃないかって。ひどくない?」


レイカが思わず声を高めた。

「中野さん!?

プレゼント攻撃のあの中野さん?

どん臭そうなあの中野さん?

お金以外なんの取り柄もなさそうなあのスケベおやじの中野さん?」


「そうなのよ」

中野さんたら、ひどい言われようだ。

そうか、中野さんはお金以外なんの取り柄もないスケベおやじのコンコンチキなのか。

でっぷりと脂ぎったハゲおやじが頭に浮かんだ。

勝手な妄想。


「あれ?でも愛玲、中野さんとアフターしたことあるんだよね?」

「一度だけね。でも食事だけ、本当よ。

たくさんプレゼントも貰ったからね、営業活動よ。

でもそれだけ」


「イヤイヤ?」

「うーん、イヤイヤっていうか、あたしを気に入ってくれてるのは嬉しいけど、でも中野さんはただのお客さんだし・・・ありえないわ。

イズは何度そう言っても信じないみたいけど・・・」


ぐるりと首を回しうんざり顔でリナがオレを見る。

ありえないのか。

全てオレの幻想が生んだ取り越し苦労か。

でもやっぱり釈然としない。

鵜呑みにするな、と頭の片隅で叫ぶヤツがいる。

あの日の中野のおっさんの言葉、釈ちゃんはオレの女だ。

ただのお客が、携帯をパクった上、リダイヤルまでして「釈ちゃんはオレの女だ」とは言わない・・・と思う。

さもオレのほうが浮気相手だと決め付けていた怒り。嫉妬心。

あの熱は、なんでもないお客が持つエネルギーではない。


「じゃあ、なんで新しいマンションを隠してたのよ?」

そうだ、それならなんで隠す必要があるのか。

二人はにんまり微笑んで

「ナイショ」「ナイショ」

と声を合わせて椅子を立つ。

この話はここまでよ、という空気が流れる。

以前ならここで、適当に分かったふりをして大人ぶっていたかもしれない。

はっきりと追求できない自分の弱さを、これがやさしさだと誤解していたかもしれない。

だが今は「ナイショ」などといわれてスルーなんかできない。

「ナイショってなにさ。

あれって引っ越したばっかりじゃないよねえ。

なんで嘘つくんだよ」


二人が呆れ顔でオレを見ている。

まるで物分りの悪い子供を見る目だ。

オレも物分りの悪いガキは嫌いだ。

だけど、物分りのよすぎるガキはもっと嫌いだ。

「本当は、ばれなきゃ、マンションはずっと隠しておくつもりだったんだろ?

最近引っ越したようにはとても見えねえし。

なんで嘘つくんだよ。

オレが今回こっちに来る前から住んでいたんじゃねえのか?

それはリナがあのマンションを中野のおっさんから」


レイカがそれをさえぎった。

「はいはい、わかった、わかった」

レイカが諦めたように手をヒラヒラさせた。

「あたしのことで愛玲が勘違いされるのもイヤだからさ。

じゃあ、マンションのこと教えてあげる。

いいよね愛玲」


「べつに麗華がいいなら・・・」

と言うとそのままリナは部屋に消えていった。

あとは勝手に聞けば、ということか。



レイカは椅子を引いてもう一度テーブルに腰掛けた。

「言っておくけど、あのマンションはね一ヶ月前、イズさんがこっちにくるちょっと前かな、あたしがオトコにもらったものなの。

愛玲じゃないの。

実はあたしね、今囲ってもらってるオトコがいるのよ。

イズさんがこっちに来るちょっと前にそういう関係になったんだけどね。

谷口さんは、あたしが愛玲と一緒に住んでるの知ってたから、ほかに二人で気兼ねなく会える部屋が欲しいねって、あのマンションをくれたの。

でもさ、あたしイズさんには若い男紹介してって、いつも言ってたじゃない?

だからもしイズさんの知り合い紹介してもらえるんなら谷口さんを適当なとこで切ってもいいかな、って、そのくらいの気持ちだったの。

あ、オトコの名前、谷口さんていうのね。

だからあたしはね、囲ってもらってるオトコがいるってのをできればイズさんに知られたくなかった。

イズさんに若い知り合いを紹介してもらったら乗り換えようとマジで思っていたからね。

まあ今でもそう思っているんだけど。

うん。

絶対谷口さんとは面倒くさいことにはならないようにするからさ、ね、いい人いたら紹介して。

・・・まあそれはいっか。

でね、そうなったらそうなったでまた愛玲とあっちのマンションで一緒に住むつもりだったし

・・・ということで、あのマンションはそういうことなの

・・・わかった?」


もう少しのところで、レイカが囲われてたのは知ってたよ、と言いそうになった。

レイカがオトコに囲われてるのは例のブログで承知済だ。

そうか、あのブログの作者がこのマンションを買ったのか。

ふーん、谷口っていう名前なんだ。

カネ持ってんなあ。

多分、レイカは嘘を言っていない。


「だいたいおかしいと思わない?

引越しとか言って、こっちのアパートの荷物が何一つ減ってないでしょう」


「うん、おかしいと思ってた。

だから余計マンションのこと隠そうとしてるんじゃないかって思った」


「はは、そっか、そうだよね」

「じゃあ、あっちのマンションのインテリアとかは全部新しく買ったってこと?」

「うん、そう。

あーーでもちょっと違うかな。

えとね、愛玲は愛玲でさっきの中野さんからプレゼント攻撃で、何がいい?何が欲しい?っていつも聴かれていたのね。

だから、じゃあ新しい部屋のカーテンや家具なんかのインテリアを買ってもらっちゃえばってことになって、中野さんのプレゼントでマンションのインテリアを全部そろえちゃったのよ。

あたしがマンションを買って貰って、愛玲がインテリアを買って貰う。

そのうち一緒に住むんだからフィフティフィフティってことよね、持ちつ持たれつ。

まあ、だからこっちのアパートの荷物は何一つ減ってないってわけ。

そういうこと。

だからイズさんがさっき言ったように、ばれなきゃマンションはずっと隠しておくつもりだったし、イズさんがこっちに来るちょっと前からあのマンションには住んでいたわ。

住んでいたというより谷口さんと二人で会うときに使ってた、って感じだけど。

だけど、唯一イズさんが勘違いしてたのは、あのマンションは愛玲が中野さんから貰ったものじゃなくて、あたしが谷口さんから貰ったもの、ってこと。

どう?安心した?」



外が明るくなり始めてきていた。

リナはいつの間にかジャージに着替えてソファーに寝転んでいた。

ダサダサのジャージ姿のリナを見て、確かに少し安心した。

ギリギリまで本当のことを明かし、肝心なところはぼかされている気もするが、タイムオーバーだ。

冷めたコーヒーを飲み干し外に出た。

外に出ると陽射しはじんわりと暑さをふりしぼりはじめ、街のあちこちで蝉がジワジワ鳴きだしていた。










「中野さんはただのお客さんだから」

信じたいのは山々だが、まわりを見れば「日本人カラオケ」のキャストには信じ切れないものがある。

お店の中だけの擬似恋愛。

だがそれだけではお客もキャストも満足しない。

中国ではお店の中だけじゃなく店外でもたくさんのキャストが擬似恋愛をしている。

擬似恋愛という名の売春。

「スケベおやじの下心」と「ジャパンマネー」

要は「需要」と「供給」だ。

お店がはねてから一晩だけスケベおやじの相手をする。

キャストは一晩我慢するだけで、まともに働いているOLの一ヶ月分の給料を手にできるのだ。

貧しい中国でそんなおいしい話は他にない。

一方、スケベおやじにとっては、たった一万円でオンナが抱けるのだ。

日本では見向きもされないようなイイオンナと一万円で一晩やれる。

逆に日本でそんなおいしい話はありえない。

「需要」と「供給」。

円パワー。


だからといってオレは中国の女性を身持ちがユルい拝金主義者とは思わない。

考えてみれば日本人だって同じだろう。

五万円払えば女子高生がホイホイついてくるご時勢。

OLの一ヶ月分の給料を、例えば二十万円をあげれば一晩付き合うキャバクラのキャストは山ほどいるだろう。

中国ではそれが一万円だということ。

そういうことだ。











上海に来てから一ヶ月半が経った。

今日は仕事が休みなので昨日はリナのアパートに泊まった。

もう昼前くらいだろうか、陽の光りが窓から鋭角に降り注いでいる。

ベッドで目が醒めてリナを見ていたらリナも目を醒ました。

いつからそうなったのかわからないが、オレは左側が好きだ。

歩くときも、座るときも、寝るときも、いつも左側にポジションをとる。

何も利き腕を自由にさせるためじゃない。

もちろんそれも大切なことだけど、オレが右利きだったとしても、やっぱり左側がいい。

安心する。

右側に横たわるリナはオレの肩に頭を乗せて、手も足も巻きつけるようにしてくっついている。

生身の身体は温かい。

リナの身体はとてもしなやかで、密着した肌が心地いい。

「聞いてもいい?」

「うん」

リナがくぐもった声で答える。

遠くでサイレンが鳴っている。

「何でこうなるの?」

「こうって?」

「だから、つまり、いきなりしたい、なんてさ」

「イヤだった?」

「それはないけど、今まで全然そんなのなかったから。

びっくりしたよ」


「うん、なんでかなあ」

リナが笑う。

腹筋がやわらかく上下した。


「何かあった?」

「お店でちょっとね。ぐったりだわ」

「だったら辞めればいいさ」


「うん。そうするつもり」

「日本語学校を卒業したらリナの働くところくらいオレがなんとかするよ。お金だって」

「気にしないで」

「なんで」

「イズに紹介してもらったら、その職場、簡単に辞められないじゃない」

リナは笑ってそういうと再び目を閉じた。

オレはリナの手をはずしてベッドから抜け出した。

「天気いいしどっか行こうよ」

「うーん・・・そうだね」

リナは半分身体を起こし、シーツを胸まで引き上げた。

「そう言えば前にオレが買ってあげた服、オレンジのやつ。

あれ着たの見たことないなあ。

あれ着てよ」


「うん。いいよ。

あ、でもあの服、あっちのマンションにおいてあるんだ」


「え?え?なんで」

「ああ、まあ、いろいろと」

リナが言葉を濁す。

「なんだよ、それ」

「うん、お店であの服を着てて、それからあっちのマンションに行ったとき着替えて置いてきちゃったの」

オレは半分口をあけたまま、リナを眺めた。

店を辞めてほしいと思っているのに、買ってあげた服が店で働くことを応援するカタチになってしまっていることに違和感を覚えた。

オレがあげた服を着て、知らないオトコを接客してると思うと腹立たしかった。

「どうかした?」

「いや、別に」

「なんか気に障った?」

「よくわかんない」






それから服を取りにマンションに向かった。

部屋に着くと買ってあげたオレンジの服はきちんと壁にかかっていた。

先週来たときと部屋の様子は何も変わっていないように思えた。

ただ、ゴミ箱のゴミが片付けられていた。

「ねえ、着替えるからちょっと向こうにいってて」

ああ、とか適当に返事をしてキッチンのほうに行く。




吸っていた煙草を水道の水で消し、キッチンの大きいゴミ箱のフタを開けて投げ込む。

手持ち無沙汰に何気なくもう一度ゴミ箱をあけてみる。

お菓子の袋の上に捨てた煙草がのっかていた。

煙草の火はちゃんと消えている。

ゴミ箱の中には、ストッキング、ペットボトル、ティッシュ、雑誌、などなど。

その底に茶色の布きれのようなものが見えた。

血が固まって変色した色だ。

ナプキン?

ちゃんと包んで捨てろよ、まったく。

一緒に捨てられていた雑誌でそれをゴミ箱の奥へとつつく。

あれ?

・・・いや、違う。

・ ・・ナプキンじゃないな。

なんだこれ?

・・・・・

手にとってみた。

「!!!」

全身がカッと熱をおび、神経が焼き切れそうになった。

思考が痺れた。

「たいがい綺麗とずる賢いはセット売りだ」

これは誰の言葉だったろうか。


そうか、あのときリナが隠したかったものはこれか。

先週、初めてここに来たとき、五分だけ待って、と言ったのはそういうことだったのか。

なんだ、まるっきし思ってた通りじゃないか。

アホらしくて話にならない。

苦笑がもれた。

卑屈な自嘲。

オレはそれをゴミ箱から取り出すと、リナが着替えている部屋に入った。




「もうちょっと待ってね、もうすぐだから」

オレはリナの胸ぐらを掴みたい気持ちを抑える。

「なあ、お前、中野さんとやっぱなんかあるだろ?」

「いきなりどうしたの」

背中のファスナーを上げてリナは笑っている。

「レイカを囲ってる谷口さんと中野のおっさんが同じ会社の同僚だって知ってるよな」

「・・・・なにそれ?・・・・同僚かどうかは知らないけど。

よく二人で一緒にお店に来るわ」


振り返ったリナが、オレの手にしたものを見て固まった。

「そんなにカネがほしいか?

いくら貰ってるんだよ?」


リナが軽蔑に似た目をオレに向けた。

「中野のおっさん、ここに来たことあるよな」

だが目が合うとリナの視線はゆらゆらと躊躇して床に落ちた。

オレは続ける。

「てか、この部屋はレイカと谷口とかいうおっさんがやる部屋だって聞いたけど、

お前と中野のおっさんがやる部屋でもあるよな」



・・・・・・・・・・・長い沈黙。



「何とか言えよ」



「違う・・・・・」

顔をあげたリナの瞳から涙が溢れて、目尻から頬を伝った。

「本当に違う・・・・中野さんとはなんにもない」

「じゃあ、なんだよこれ」

「違う、信じて・・・・本当になんにもないから」

「おっさんが店で暴れて怪我した夜に介抱してここに来たんだろうが」

オレはリナの顔に血で黒く染まった包帯を思いっきり投げつけた。

包帯に包まれていたコンドームが肩に当たって落ちた。

自分がひどく残酷なことをしている気分になった。

だけど怒りは身体の芯を凍らせたまま溶けない。


「信じて、信じて、違うの、本当になにもないの」

リナは泣きじゃくった。

むせながらも、信じて、何もないの、を繰り返す。

頭の芯がぼうっと痺れてきた。



ここにいたくなかった。

どこにもいたくなかった。

暖かい部屋で眠りたいと思った。

遠くでサイレンが鳴っていた。





to be continue・・・・・・




久々なんで頑張っていつもより長めですわ。

次回あたりで最終回かなあ☆









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comment

う~ん・・・またまたどんでん返しですかぁ(>。<;)なかなか安堵できませんわね。
でも本当、彼の痛みも彼女の心境も凄く伝わってくる!なんだろうこの感覚???
やっぱりユルオヤジのセンス?!(^^;)

最終回ってどうなるのかしら~・・・実は自分に重ねて読んでたりしています(#^^#)ふふふふ☆
2006/10/15 16:34 | しおん [ 編集 ]

おきゃえりーーーー!!!!

いや、凄いね、、、凄いよ!

うーん。なんてゆーか、

文章に惹き込まれて、抜け出すのが大変。みたいなね。

なんちゅーか、いつも思うけど、面白いよーーー

天才!!♪

てーんーさーいー!(浅田ふう(風)
2006/10/15 18:08 | めみ [ 編集 ]

あーっ☆カウンター

17600番ゲット♪(←なんかキリが良くない?
2006/10/15 19:14 | めみ [ 編集 ]

>しおんさん

はい、そうなんです、どんでん返しの、でんぐり返しなんです。
後輩が中国から帰ってくるたびに
「釈ちゃんどうした?」
って聞いてましたからwww

でも最終回はドラマのようにはならないですよ(まあそんなもんでしょ
劇的なこと期待しちゃダメですから☆

>めみちゃん

はい、ただいまです。
ところで浅田ふうの浅田って誰?(すげ気になるw

>文章に惹き込まれて、抜け出すのが大変。みたいなね。
そこまで褒められると照れますってば♪(嬉♪結構その気
元ネタを提供してくれた後輩に感謝です☆
そいつから、タイトル変えてくださいってメールきた(おま、仕事してる?
2006/10/15 19:41 | FineDays [ 編集 ]

>めみちゃん

おめでとうございます!!!!
あなたは世界で唯一の選ばれし者です!!!
私のブログで「17600番」をゲットした人は世界中であなた一人です♪
神の力を感じずにはいられません☆
2006/10/15 19:47 | FineDays [ 編集 ]

ウワーえらいこっちゃー!!、自分の心を捧げないで相手の心を欲しがって、、、。
愛とは対極の世界です、、、、こうなったら中途半端では済みませんね!!。
俺の後輩もマニラだったかどっかに行った奴が居る、、先輩は去年いい年して中国に行った、、、。
相手が天使でも、、俺にはとっても真似出来ない、、、、、でもチョットだったら真似して見たい気もする。。。。。。。
2006/10/15 20:19 | みっちゃん [ 編集 ]

>みっちゃんさん

マニラったら熱そうですね!!(気温じゃなくて、イロイロとw
みっちゃんさんに仕事でマニラって言われて
「僕らはみんな生きている」って映画を今思い出しました。
緒方拳とか真田広之が出てたような。。。知ってます???

はい、こうなったら中途半端ではすみません!!!
まあ、もうすでにグチョグチョですがwww
2006/10/15 20:45 | FineDays [ 編集 ]

浅田次郎のあさだ風だよーーん♪

代表的なフレーズは…


こーーーーわーーーいーーー!

(↑これ、浅田次郎の色んな小説のなかででてくるんだけど、
登場人物で、宮殿の王様とか、男性、女性、オカマ問わず、言います。
このおちゃらけた言い方が好きです。この、ーーーっていう伸ばし具合が良くない??
ストーリーを読んでる中で読むと、絶妙なハーモニーでマッチングしてて面白いよ♪w
2006/10/15 20:50 | めみ [ 編集 ]

>めみちゃん

いやいや、それって超難問じゃね???
そうとうの次郎ちゃんフリークじゃないと、そっかそっか、とは言えないって♪

>ストーリーを読んでる中で読むと、絶妙なハーモニーでマッチングしてて面白いよ♪w
でもめみちゃん、面白い本の読み方してるわ
音があるんだね
めみちゃんの中で
こーーーーわーーーいーーー!
がどんな言い方になってるのか気になるわwww(音程とか♪
2006/10/15 22:11 | FineDays [ 編集 ]

ファインさんがこんな面白いのアップするから、、、、俺は気になって今日一日、女性と一緒に海外に行ってしまった後輩と先輩の情報収集してしまいました。
友達の友達とか輪が広いんで、、、、ついに後輩の消息を掴みましたーーーー!!!!。
去年の今頃会社を整理して、クーニャン(女性の呼び方?)とマニラに行ったんだけどそれからフィリピンに行ってて、、、案の定、、、もう絵に描いた様な破滅&転落のストーリー!!!!。。。。
美男子!良い男なんだけど、男が女に狂うとあんなになるかと、、、やっぱり執着して、自分で壊してるのに気が付かない見たいね。
落ち着いた頃合見て一緒に飯でも食ってみるね、、報告できたらさせて貰います。
2006/10/16 22:21 | みっちゃん [ 編集 ]

>みっちゃんさん

後輩さんも大変みたいですね。。。
絵に描いたような破滅、転落のストーリーとは。。。
気になる
そっちのストーリー!!!
はい、報告お願いします♪

クーニャンってたしか「姑娘」???
いや、クーニャンって中華料理屋の野球チームがあって、確かそうだったような。。。w

2006/10/17 01:35 | FineDays [ 編集 ]









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FineDays

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プロフィール写真を変えてみた。
女豹のポーズの写真とどっちにしようか悩んだけどな。
思いきり背中そらせた上目使いのやつ。
でもやっぱ、まだ処女性をアピールしたい年頃じゃん?
「美尻伝説」打ち立てんのはまだ先でいいかなあって。
もうちょい清純派路線つらぬくわ。
でもなそうは言ってもな
アンアンの「SEXで綺麗になれる」特集とか見て来る日に備えてっから☆

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